大人になって聴いたら涙がとまらないアニメソングを15曲選んでみた

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僕が子どもの頃、「アニソン」と呼ばれるものは、いわゆるヒットチャートを賑わせるポップスと比べたときに、なんかこう、一段下に見られている感じがあった。

中学生のときとか、カラオケでGLAYラルクを歌うと場がいい感じに盛り上がるのに、『ぶーりん あ・ら・もーど』(『とんでぶーりん』ED)とか『走れマキバオー』(『みどりのマキバオー』OP)とか入れると、明らかに「ああ…」ってちょっと鼻で笑うみたいな空気が流れんの。

なんで?

確かに「新生前夜を闊歩か? 新陳代謝を活性化」っつってる小池くんはかっこいい。同じ早口なのに「おっと、後方から猛烈な勢いで追い込んでくる白い影。ミドリマキバオーだ! 戦闘集団に並んで一気に抜き去った!」ってまくし立てている僕とは天と地の差。心の中の榎本加奈子が「絵里花が満天に輝くお星様なら、あなたは味噌汁のダシに使われるただの煮干し様」って僕を罵倒してくる。

そんなアニソンしか知らない羞恥心と、一般で浮かない選曲センスがせめぎ合った結果、『1/3の純情な感情』で精一杯お茶を濁していたあの頃。

しかし、時が経ってどうでしょう。子どもの頃に親しんだ「アニソン」というものは、年を重ねるごとに特別な輝きを増している気がします。

耳にするだけで、忘れていたあの頃の感情が甦って、鼻先がツンとしたり。気づいたら3時間ぐらい延々と90年代アニソンメドレーを聴いていたり。まじで時間泥棒。貴重な睡眠時間と僕のハートを、いつもアニソンは盗んでいくのです。

ということで、今回は36歳の僕が選ぶ「大人になって聴いたら涙がとまらないアニメソング」を15曲ご紹介します。子どもの頃は何気なく口ずさんでいた歌詞が、年をとって読み返すと、やたらと胸に突き刺さったり。理屈も全部飛び越えて、ただただなつかしさで全身が焼けそうになったり。そういう楽曲をセレクトしました。

それでは、張り切ってどうぞ〜。

(ご紹介にあたって、基本的にはYouTube公式チャンネルもしくはSpotifyから音源をお借りしましたが、どうしても正規ルートで引用できないもののみ、カバーの音源を貼っています。ご、ご了承を…)

 

 

【第15位】

ふしぎ遊戯』エンディングテーマ

今野友加里『ときめきの導火線』

別に中国語専攻でもないのに、二十八宿を暗唱できる人がいたら、それは間違いなく『ふしぎ遊戯』のオタク。四神を呼び出すには処女(おとめ)でなければならないという多感なお年頃の読者が思わずムズムズする設定を何でもない顔で繰り出す『ふしぎ遊戯』のおかげで、私、大人の扉を開きました。

戦闘中、男色の敵・氏宿が謎の触角で鬼宿のうなじを愛撫したり、いきなり心宿が鬼宿の唇を奪ったり。いろんな衝撃を心に刻み込んだ『ふしぎ遊戯』ですが、最大のトラウマは、何と言っても柳宿の死。尾宿と刺し違え、生き絶えた柳宿。漫画のキャラが死んであんなに泣いたのは、後にも先にも柳宿だけ。

しかも、よくよく読み返してみりゃ、そのちょっと前に「生きてりゃあねえ!! つらいことでもいつか笑って懐かしく話せる時が来るのよ!」って名台詞吐いてるの。なんてわかりやすい死亡フラグ。まだ純粋だった僕は、そんな死亡フラグにもまるで気づかず、あまりに突然すぎる柳宿の死にショックを受け、涙に暮れたのでした。

そんな『ふしぎ遊戯』からはEDの『ときめきの導火線』をセレクト。まずはこの印象的なイントロがなつかしさのツボを高橋名人ぐらい連打してくる。

そして歌詞がいい感じに意味がわからないところがアニソンっぽくていい。特に2番の

思い思われさえ砂粒の確率 「でもね、その粒が僕だよ」って

とか普通によくわからない。もし鬼宿が真顔でそんなこと言ってきたら、とりあえず四神天地の書を焼こうと思う。

サビのラストを締めくくる「ニャーオ」の意味不明感も含めて、これぞ90年代アニソン。同世代以外の前で歌ったら、確実に白い目で見られるという点でも、涙が出ます。

 

『ときめきの導火線』

作詞:里乃塚玲央  作曲:家原正嗣

 

 

【第14位】

魔法騎士レイアース』初代オープニングテーマ

田村直美ゆずれない願い

二十八宿をそらで言えるのが『ふしぎ遊戯』のオタクなら、普段車に乗らないのに、なぜか自動車ブランドの名前にやたら詳しい30代がいたら、それは十中八九『魔法騎士レイアース』のオタクです。

3人の平凡な女子中学生が、異世界セフィーロ」に召喚されたことから幕を開ける剣と魔法の冒険ファンタジー。この時期、やたら戦う女子ものが流行りましたが、この『レイアース』もそのひとつ。30代女子にルーツを訊いたら、だいたい『セーラームーン』か『レイアース』説、あると思います(『ウェディングピーチ』も忘れるなよ)。

ゆずれない願い』はね〜、歌詞がたまらないんですよ。

跳べないハードルを
負けない気持ちでクリアしてきたけど
スタートラインに立つたびに怯えていた

わかる〜〜〜。一生懸命強いふりしているけど、本当の私は臆病者の弱虫なの〜〜〜。っていうあれ。

なんとかボロを出さないように強がっている自分を見透かされたふりして、心の鎧が崩れ落ちそう。勝負のプレゼンの前に聴きたい曲ナンバーワン。そして、この曲を聴いて大きく1回深呼吸したら、また強い自分で戦いに挑もうと思える。戦う私たちのための勇気の1曲です。

 

ゆずれない願い

作詞:田村直美  作曲:田村直美石川寛門

 

 

【第13位】

『タッチ』2代目エンディングテーマ

岩崎良美『青春』 

いやいやいやいや、『タッチ』といえば「呼吸をとめて1秒あなた真剣な目をしたから」でしょっていう人、わかってる〜、わかってるの〜。そんなマジョリティの声も受け止めた上で、僕は言いたい。タッチの名曲といえば、この『青春』だと。

まるで音符からグランドの土埃が舞い上がってきそうな古き良きメロディ。聴く人の心を洗い流す岩崎良美の澄んだ歌声。そして文字通り青春の1ページを活写した瑞々しい歌詞。

夢と恋の違いに気づくころは 制服じゃもうないでしょう

とか名言すぎて広辞苑に載せたい。センター試験に出さなきゃいけないのは、微分積分でも寛政の改革でもなく、岩崎良美の『青春』の歌詞穴埋め問題だと思います。

「好きです」のたった4文字が言えなかったあの頃。校舎の窓から見える、グランドの上の君はとても遠くて、とても綺麗だった。

この曲を聴くたびに、本当の気持ちを言えないまま「じゃあね」と別れた3月の校門を思い出します。

 

『青春』

作詞:康珍化  作曲:芹澤廣明

 

 

【第12位】

金田一少年の事件簿』初代エンディングテーマ

ともさかりえ『2人』

いまだに彼女を見ると「美雪ちゃん」と呼びたくなる世代にとって、ともさかりえ=『金田一少年の事件簿』。そんなイメージを最大活用するように、アニメ版のEDを担当しましたが、これがもうザッツ隠れた名曲なのです。

君が教えてくれた 花の咲く場所とか 空の星座の名前 恋の切なさ

花の咲く場所と空の星座の名前と恋の切なさを並べる歌詞のセンスがすごすぎて、これはもう現代の小野小町。ずっと一緒に過ごしたふたりが、時の流れと共に、一緒でいられなくなる。そんなせつなさとさみしさが歌詞からバンバン溢れ出してきます。

君は覚えているかな 好きな野球チームや 僕の苦手なセロリ キスの長さを…

「君は覚えているかな、キスの長さを」とか実際にLINEで聞いてくるやついたら、すぐさまスクショしてTwitterにさらしたあと、冷静にブロックしますけど、そこはアニソン。夢が見たい。

作詞は、大御所・秋元康小野小町の正体は、まさかの康だった。

今やすっかり、気を抜いたらすかさずHuluに誘導してきたり、半年間引っ張った長編ミステリーの犯人役に自分の推しているアイドルをぶっこんでくるイメージの秋元先生ですが、やっぱり作詞家としては優秀だと思うのです。

みんなの記憶のアルバムにある風景を、誰もが共感できる言葉で詩にするセンスは当代随一。松本俊明の耳馴染みのいいメロディメイクも秀逸です。

 

『2人』

 作詞:秋元康  作曲:松本俊明

 

 

【第11位】

クレヨンしんちゃん』9代目エンディングテーマ

小川七生『月灯りふんわり落ちてくる夜』 

music.apple.com

このオリジナリティの塊のような歌声。一発で覚えられる印象的な出だし。名曲が多いことでも知られる『クレヨンしんちゃん』の中でも、胸をきゅっとせつなくさせる力は指折りの名曲です。

けれど、この曲がこんなにも胸を苦しくさせるのは、楽曲の力もさることながら、タイトルバックの影響が強い気がする。

みなさんはご記憶でしょうか? 夜の道を歩くしんちゃんとみさえ、ひまわり、そしてシロ。行き先は、かすかべ駅。通勤電車に揺られながら、疲れた顔をしたひろしが帰ってくる。仕事が終わったお父さんを、家族がみんなで迎えに行く。そんなタイトルバックでした。

みさえとひろしに腕を持ち上げられて、ぶらぶらとぶら下がるしんちゃん。ただそれだけのなんでもない日常の風景。正直、自分自身がそんなことを両親にしてもらった記憶なんてついぞないのですが、でもその絵が確かに自分自身の子ども時代とオーバーラップして。それがもう二度と手に入ることのない何かのような気持ちになるから、僕はこの曲を聴くと泣きたくなるのです。

僕たちは、いつから子どものままでいられなくなったんだろう。

 

『月灯りふんわり落ちてくる夜』

作詞:RYUZI  作曲:RYUZI

 

 

【第10位】

らんま1/2熱闘編』7代目エンディングテーマ

ぴよぴよ『虹と太陽の丘』  

うる星やつら』とか『めぞん一刻』のインパクトに押されて、やや地味な印象も否めないけれど、僕にとってのるーみっくワールドといえば『らんま1/2』。

らんま1/2』の主題歌は、『乱馬ダ☆RANMA』や『地球オーケストラ』といったノリのいい曲から、中嶋美智代の『ひなげし』やCoCoの『思い出がいっぱい』のような郷愁感たっぷりのミディアムナンバーまで、バラエティ豊かなラインナップになっているのですが、その中でも僕が今も強く心を揺さぶられるのが、この『虹と太陽の丘』。

太陽のにおいだね あなたの夢もシャツも

この一文だけで、他に何も説明しなくても、ちょっと大きな「あなた」の背中や眩しい笑顔が鮮やかにイメージできるところがまずいい。そのあとに続く

だから大切な夢を 決して諦めないで
大空に翔ばたく力と勇気 持ち続けて

というフレーズが、年をとるごとにどんどん可能性を信じられなくなっている自分自身に言われているようで、「いったい俺は大切なものをどこに置き忘れちまったんだッ!?」って地面を殴りたい。そして、あかねみたいなショートカットの女の子に「あんまり自分を責めないで」って後ろから抱きしめられたい。

しかもこの曲、まさかの柴咲コウがカバーをしてた。まじかよ柴咲コウ。大河主演女優がチョイスする曲じゃないと思うんだけど、これ。たぶん気が合うと思うので、今度どっかで一緒に飲ませてください。

 

『虹と太陽の丘』

作詞:上村茂三  作曲:上村茂三

 

 

【第9位】

YAWARA!』初代エンディングテーマ

姫乃樹リカスタンド・バイ・ミー

ムサくるしい男のスポーツというイメージだった柔道に、正統派のラブコメ要素を盛り込んで、一気に柔道ブームを巻き起こした『YAWARA!』。

アニメ放送開始時期はまだ僕も小学生に上がったぐらい。だから内容はところどころ曖昧で。はっきり覚えているのは、元バレリーナの富士子さんが「アンドゥトロワ」のリズムで大内刈りかましてたのと、さやかさんの差し歯がいつも抜けてたのと、松田さんがカッコいいっていうこと。なんかあるたびに柔は松田さんのバイクの後ろに乗っけてもらっているイメージで、献身的にサポートする松田さんを見ながら、こんなふうに誰かに一生懸命想われてみたい〜〜って子どもながらに憧れていた。

そして、そんなふたりのもどかしい恋を彩ったのが、OP/ED曲。原由子の『少女時代』も大好きなんですけど、あちらはアニソンというより、斉藤由貴の楽曲という印象が強いので、初代EDのこちらをプッシュ。

曲の中で描かれるのは、他の何も見えなくなる幼い恋。でもそれが決して永遠ではないということも、彼女はわかりはじめている。

誰に反対されても二人でいようねと
家出の真似もしたけど
駅で引き裂かれたあの日
通りで逢っても目をそらして歩くだけ

っていう2番の歌詞が、1986年に封切りされた同名の名作映画『スタンド・バイ・ミー』を思い起こさせる感じで。映画の『スタンド・バイ・ミー』も好きな僕にとっては、二重にせつなさがこみ上げてくるのです。

Stand by Me 時は過ぎてしまうけど
いやよ 大人にならないで

という結びのフレーズを大人になった今聴くと、あの頃との距離の遠さに絶望を覚えるので、早く松田さんは僕をバイクに乗せてどこかに連れて行ってほしい。

 

スタンド・バイ・ミー

作詞:松本隆  作曲:矢萩渉

※違法にならないかたちで引用する方法がなかったので、音源の引用は割愛させてください(涙)

 

 

【第8位】

絶対無敵ライジンオー』オープニングテーマ

SILK『ドリーム・シフト』

ドリーム・シフト

ドリーム・シフト

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80年代生まれのボーイズ&ガールズが胸を熱くさせたエルドランシリーズ。ご記憶の方も多いでしょう。

元気爆発ガンバルガー』『熱血最強ゴウザウラー』の3部作で親しまれ、「俺はガンバルガー派!」「僕はゴウザウラー派!」と小学生にして人生初の宗派争いを経験したことでも印象深い作品ですが、僕はやっぱりライジンオー派。

だって、今まで何気なく過ごしてきた教室が、いきなり地球防衛組の司令室になるなんて、夢がつまりすぎてパンクするわ。あの机が自動でバーッて動いて、教室がゴゴゴッて沈むやつ(語彙力)、死ぬほど羨ましくて、いつか自分の教室も変形するんじゃないかってワクワクしながら授業を受けていました。

でも、何回掃除用のロッカーを開けても、そこからライジンオーに乗り込むことはできず、うちのプールから鳳凰が発進することはないまま迎えた小6の卒業式。真面目に練習していたミニバスのレギュラーになれなかったことよりも、サンタがいないことよりも、ライジンオーに乗れなかったことの方がよっぽど夢破れた感ありました……。

そんなせつない想い出もこみ上げますが、やっぱりこの『ドリーム・シフト』を聴くと絶対無敵なあの頃の気持ちになれるからすごい。

イントロのビートからして爽快感ありすぎてサイダーかよ。心の中に眠れる勇気を内側から鼓舞してくれるようなサウンドに、今すぐ「無敵合体ライジンオー!」って叫びたい。

歌詞がね、またいいんですよ。

非常ドアを開けるたびに 胸がなぜかドキドキする
新しい世界へ飛び出すスリル 君にも教えたいよ

大人になった今も非常ドアの表示灯を見るたびに、このフレーズが頭に甦ってきて、気持ちだけ物語の主人公になれます。

実は今でもライジンオーに乗れる日が来ることを心のどこかで期待しているのですが無理かな。いっそ大人版ライジンオーとかつくりたい。オフィスがいきなり地球防衛組の司令室に変形するの。で、すっかり中年サラリーマンになった日向仁たちがもう一度地球のために戦うの。これ、本当つくってくれたら際限なく課金するので、サンライズさま、何卒よろしくお願いいたします。

てか、日向(ひゅうが)って苗字カッコよすぎて結婚したい。

 

『ドリーム・シフト』

作詞:篠原仁志  作曲:和泉一弥

 

 

【第7位】

美少女戦士セーラームーンR』エンディングテーマ

石田燿子乙女のポリシー』  

基本的に80年代生まれの女性となら、『セーラームーン』の話だけで三日三晩語れます。それぐらい、うさぎちゃんたちがくれたものは大きかった。

戦う女の子漫画の金字塔。すべての女の子の夢と憧れがつまった永遠の名作『美少女戦士セーラームーン』。戦う女の子のコスチュームが制服って発想が完璧すぎて、僕が選ぶ天才はエジソン武内直子先生です。

もうね、とにかく亜美ちゃんが可愛くて可愛くて……。IQ300の天才少女でありながら、ちょっとヌケてるところがまず可愛い。浦和くんとの淡い恋とかじれったすぎるし、DDガールズが浦和くんの幻影を見せたとき、「私にもこんな幻を見ることができるのね」とやるせなく微笑む姿に、それまでの孤独がにじみ出てて、まじ可愛い。

あとは何と言っても必殺技の「シャボン・スプレー」が今いち使いどころがないところが、もう可愛すぎてつらい。DDガールズとの戦いも、いつも持っているDSみたいなので額の石を壊すだけ。攻撃法が子どもの喧嘩すぎて東映動画に抗議したい。『R』で「シャボン・スプレー・フリージング」を習得したときは、ついに亜美ちゃんにも攻撃技が!と狂喜乱舞したものでした。

あれ以来、こういう属性ものでは必ず水の属性キャラを応援してしまうようになったのも、全部亜美ちゃんのせいだ。

そんな『セーラームーン』ですが、有名なのはやはりOPだとは思いますが、名曲という意味ではこの『R』のEDを推したい。

どんなピンチのときも絶対あきらめない
そうよ それがカレンな乙女のポリシー

もうこの出だしのフレーズから『セーラームーン』マインドたっぷりですが、白眉なのは2番のサビ。

なりたいものになるよね
ガンバる人がいいよね
涙もたまにあるよね
だけどピッと凛々しく

わかる〜〜。思うに、ついつい頑張りすぎてしまう30代女子、確実に『セーラムーン』の影響があると思う。だって、泣き虫だけど、一生懸命戦ううさぎちゃんがあの頃の、そして今も私たちの憧れだから。

仕事に行きたくない朝も、この曲をかけるだけでちょっと頑張ってみようと思える。いつでも私たちを戦うヒロインに変身させてくれる愛と正義の1曲です。

 

乙女のポリシー

作詞:芹沢類  作曲:永井誠

 

 

【第6位】

魔法陣グルグル』2代目オープニングテーマ

奥井亜紀『晴れてハレルヤ』

少年漫画と言えばジャンプしか知らなかった僕に「ガンガンもあるぜよ」と教えてくれた伝説の漫画。それが、『魔法陣グルグル』。エニックス(当時)発刊らしいRPGの世界をベースにしながら、珍妙なキャラクターとシュールなギャグの数々で、すっかり虜になりました。

「ただし……1ヶ月の場合、魔法は尻から出る」など今も語り継がれる唯一無二のギャグセンスをはじめ、1巻と最終巻で絵柄が違いすぎて、人間の画力ってこんなにも上がるんだ……という感慨を覚えたことでも印象深い『グルグル』。音楽も名曲揃いです。

この『晴れてハレルヤ』は2代目OP曲。というか、こっちのインパクトが強すぎて、ずっとOPはこの曲だと思っていたんですけど、2代目だったんですね。意外すぎて検索したら、初代は『MAGIC OF LOVE』だった。あった〜、この不思議な感じの曲!

というのはまた別の話で、とにかくこの『晴れてハレルヤ』は奥井亜紀のヴォーカルがめちゃくちゃ気持ちいい。これだけ抜け感があって、弾むような歌声の持ち主って他に思い当たらないんですけど、もっと評価されるべきでは?

つまんないはずだったDANCE
君となら軽くSTEPふめる

このワンフレーズだけで、初恋の高揚感が満ち満ちてくるから、歌は文化の極み。しかもそれがちょっとシャイなニケと、勇者様大好きのククリの関係性と重なってくるところが、アニメと主題歌の幸福なマリアージュ

ちょっと民族的なサウンドと、多幸感たっぷりの歌詞が、聴けば聴くほど全身に染み込んで、気づけば僕も下手くそなステップを踏んじゃいそう。

いい音楽は、人を幸せにしてくれる。それを証明するような、ピースフルなナンバーです。

 

『晴れてハレルヤ』

作詞:奥井亜紀  作曲:奥井亜紀

 

 

【第5位】

クレヨンしんちゃん』8代目エンディングテーマ

奥井亜紀『BOYS BE BRAVE ~少年よ勇気を持て~』 

引き続き奥井亜紀さまです。

てか、『クレヨンしんちゃん』と『グルグル』の両方を歌っているなんて、90年代アニメファンは奥井亜紀さまの口座に毎年現金を振り込んだ方がいいのでは?

透明感と弾力感を併せ持ったミラクルボイスはこちらの曲でも健在。何よりこの曲の面白いところは、その特徴的な構成です。

シンフォニックなイントロから始まって、子ども向けアニメらしいポップなAメロBメロと続くのですが、サビは一転してテンポを下げ、壮大なバラード調に。そのドラマティックなメロディに乗せて歌う歌詞がまた胸に来るのです。

君の選ぶ夢を誰かに頼っちゃいけない
決して自分に負けないココロ
BOYS BE BRAVE 勇気を手に

もうメッセージ性の塊すぎて、全企業は今日からこの曲を社歌にして毎朝集会で歌ってほしい。

人生、長生きすればするほど思い通りにいかないことが多くて、つい失敗した理由を誰かのせいにしがち。でも、結局、自分の人生の主人公は自分。誰かに選択肢を委ねるのではなく、自分でコントローラーを握りしめて、「YES」か「NO」か、選んでいくしかないのです。

君の歩く道でつくろう 誇らしい地図を
世界中でたったひとつの
BOYS BE BRAVE 勇気を手に

子どもの頃はわかっていたことが、どうして大人になるとわからなくなるんだろう。人生で必要なものはお金でも名誉でもなく、自分の道を自分で切り開く勇気。それさえあれば、たとえ現在地がどこであろうと幸せになれる。

生きる上で大切なことを改めて教えてくれる。力強くも優しい名曲です。

 

『BOYS BE BRAVE ~少年よ勇気を持て~』

作詞:奥井亜紀東レモン  作曲:奥井亜紀

 

 

【第4位】

魔法陣グルグル』初代エンディングテーマ

奥井亜紀『Wind Climbing ~風にあそばれて~』 

実はこのエントリー、奥井亜紀さまのPR記事では?と思われそうですが、やはり奥井亜紀さまは強い。その女王・奥井亜紀の頂点に輝くナンバーが、この『Wind Climbing ~風にあそばれて~』です。

こちらは『魔法陣グルグル』のED曲なわけですが、まじでアニソンとか関係なく名曲すぎるので、なんでこの曲がレコード大賞とかかすってもいないのか20世紀の謎。選考委員、ちゃんと仕事してる??

奥井亜紀らしい明るさは持ちつつ、EDにふさわしい抑えめのメロディで始まりながら、サビはまさに吹き抜ける風のような心地よさ。このイントロが流れるたびに、「あ、もう終わりなんだ……」と夢中になってアニメを観ていた頃の気持ちが思い出されます。

そしてこの名曲を名曲たらしめているのは、その珠玉の歌詞。

どうにもならない今日だけど 平坦な道じゃきっとつまらない
きみと生きていく明日だから 這い上がるぐらいでちょうどいい

大事なことだからもう1回書きますね。

きみと生きていく明日だから 這い上がるぐらいでちょうどいい

すごくない? この歌詞??

今のところまったく予定はありませんが、もしも結婚式を挙げるなら絶対にこの曲をかけたい。それぐらい大切な人と共に歩む人生の素晴らしさがこの1行に集約されている。

しかも、大抵のアニソンがそうなのですが、2番の歌詞がまた突き刺さるのです。

脇道をひとり歩く そんな自分にみとれてみたり
歩き疲れたあの人に 冷たい言葉を平気で放つ

中二病の横っ面をはっ叩く最初のフレーズに加えて、「歩き疲れた」から始まる次のフレーズは、水に落ちた犬を総叩きする現代社会を予見するような風刺的な歌詞で、思わずハッとさせられまくり。

それを決して説教臭くさせない奥井亜紀の歌声の軽やかさがたまらない。

ついつい眉間にシワが寄りそうになったとき。誰かを攻撃したくてたまらなくなったとき。僕はこの曲を思い出します。いつまでもニケやククリのように笑いながら、適度に力を抜きながら、生きていたいな。

そしてもし実写化するなら、キタキタおやじ吉田鋼太郎にやってほしい。

 

『Wind Climbing~風にあそばれて』

作詞:奥井亜紀  作曲:奥井亜紀

 

 

【第3位】

NINKU -忍空-』オープニングテーマ

鈴木結女『輝きは君の中に』

僕が選ぶ90年代アニソンの女王。それは、奥井亜紀さまか、この人、鈴木結女さまです。

正直に言うと、『忍空』自体はそんなに記憶がない。ロン毛でふんどしっていう橙次のビジュアルが少年心に恥ずかしくて直視できなかったのと、黄純がやたら美人ってことだけ覚えている。

それより何よりとにかくこの曲がどちゃくそ好きで、アニメが始まったら一目散にテレビの前に座っていた。

OPらしい開幕感のあるメロディと、鈴木結女の少し鼻にかかった、柔らかくも力強い歌声。そしてBメロで突然不吉なメロディに転調するところが、一筋縄ではいかない『忍空』らしくて、独特のオリジナリティを醸し出している。

あとはやっぱり聴く人の心を勇気づける歌詞の素晴らしさに尽きます。

ZIGZAG 迷い続けてる
近道なんてないのかな?
だけど楽しいだけならば
きっと幸せ見失う

あまりにも名言すぎるので、もしも僕が死んだら、墓碑にこの歌詞を刻んでください。人生の機微をこれだけ鮮やかに言い表したサビのこの歌詞に、幼いながらに生きることの奥深さを感じたものです。

悲しみを避けて笑うのは簡単
あきらめ上手な大人になりたくない
自分一人だけ空回していると
誰もが器用に生きてる気がする

谷川俊太郎金子みすゞももちろん素晴らしいけれど、『輝きは君の中に』も素晴らしいので、どうか国語の教科書に載せてほしい。

上の歌詞も2番のフレーズなんですけど、思うにアニソンの2番の歌詞がやたらいいのは、子どもの頃に聴いたあの曲を大人になってふと思い出して聴いてみたときに、僕たちの胸に大切なことを思い出させてくれるためでは? 子どもの頃はほとんど聴くことのなかったフレーズが、もう胸にグサグサ突き刺さりすぎて、弁慶の立ち往生状態。あちこち矢が刺さって血が出てる。

そして2番のサビがまた素晴らしい。

ZIGZAG 迷い続けても
振り返ればキラめいてる

こういう1番の歌詞と2番の歌詞が対になってるの性癖すぎて嗚咽が出る。今はどんなに苦しくても、いつかきっと笑い話になる。自分を照らす光は自分自身なんだと教えてくれる、最強の自己肯定ソングです。

 

『輝きは君の中に』

作詞:中島章子  作曲:山口敬之

 

 

【第2位】

NINKU -忍空-』初代エンディングテーマ

鈴木結女『それでも明日はやってくる』  

『輝きは君の中に』と来たら、もう次はこの曲しかないじゃないですか。

新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの人が不安でいっぱいの今、最も聞きたい応援ソングがこの『それでも明日はやってくる』。

オルゴール調のイントロから、力いっぱいのエールのようなドラムの音。そして、静かに、まるでひとりひとり語りかけるように歌う鈴木結女の美しい声。抑えめのヴォーカルとメロディは、暗い夜道のよう。

そこから少しずつ力強くなっていくBメロは、まさに夜明け前。地平線に少しずつ光がこぼれてくる風景が自然と頭の中に浮かんできます。

そして一気に高まるサビのメロディの開放感。鈴木結女のたくましい歌声に合わせて、思わず拳を突き上げたくなる爽快さ。

泣いて怒ったり そして笑ったり
誰かを愛したり いつも
花は咲き そして散ってく
それでも明日はやってくる

難しい言葉なんて一切使わない。ただストレートに人の胸を打つ言葉たち。これを名曲と呼ばずして何と呼ぶ。もう口ずさんでいるだけで涙が溢れて止まらない。アニソンという枠を超えて、人生を共に連れ添った伴侶のような曲です。

苦しいことがつきまとうのが、人生。でも、それを嘆いていても仕方ない。悲しみを受け止め、どうエネルギーに変えていくか。そこに、その人の生き様が表れます。

大地の色鮮やかに光輝く
流れ去った黒い雲
悲しみなど飛ばしてゆけ!

思わず歌いながら、「コロナも一緒に飛んでゆけー!」と叫びたくなる。間違いなく、この曲のおかげで乗り越えられた夜がいくつもあった。音楽は、文化は、芸術は、人を救う力がある。

いつかどこかで鈴木結女さまにお目にかかれる機会があれば、心を込めて伝えたいです。あなたの歌があったから生きてこられました、と……!!

 

『それでも明日はやってくる』

作詞:鈴木結女  作曲:鈴木結女

 

 

【第1位】

YAWARA!』4代目エンディングテーマ

LAZY LOU's BOOGIE『いつもそこに君がいた』

まさかの1万字を超える大長編になったこのエントリー。僕が選ぶ「大人になって聴いたら涙がとまらないアニメソング」第1位は、この曲です。

僕がアニソンに求めるもの。それは、言ってしまえば「ノスタルジー」です。そして、その「ノスタルジー」を見事に音符にし、いつ聴いても、何度聴いても、青春の輝きと痛みで胸を締めつけるのが、この『いつもそこに君がいた』。

終わりの鐘が鳴って 君が席を立つ
気がつけばいつでも 君だけを見つめてた

この出だしの2行だけで、一瞬で気持ちは放課後の教室にタイムスリップ。退屈な授業から解放されて、弾けるように湧き上がる椅子を引く音とクラスメイトのおしゃべりの声。その中で、君だけが輝いて見えた眩しい17歳の季節。

僕の側で君は 違う恋に魅かれて
思わず僕は 足をすくめてしまったね

あ〜〜〜〜、もう別マを一気に10年分読破したようなこのせつない気持ち!! 何で自分の好きな人は、自分じゃない人を好きなんだろう。永遠に解けることのないこの恋の難題を、たった2行で表す描写力が鮮やかすぎて、最新のiPhoneカメラかと思った。歌詞の画素数が1200万を軽くオーバーしている。

ページをめくると いつもそこに君がいた
ノートの落書き いつもそこに君がいた

どの歌詞も良すぎて、結局1番の歌詞を全部書き出してしまったよ。たった98文字で実らない青春時代の恋の苦さと甘酸っぱさを表現しきる作詞能力、ちょっとすごすぎるので、ボブ・ディランに続く音楽家からのノーベル文学賞はLOUに決定です。

またメロディメイクも絶&妙なんですよね。イントロのフレーズからして、西日射す教室感が表現されていて、なつかしさで悶え死にそう。

そして極め付けが、大サビに入る前のこのフレーズ。

過ぎゆく時の中で
あの時の仲間は 今何を語っているのだろう

二度と戻らない学生時代。みんな大人になっていて、その多くがもう二度と会えなかったりする。短くて、はかなくて、でもだからこそ青春のときはいつまでも輝き続ける。たとえ会えなくても、あのときの時間を自分を強くしてくれる。そう思い改めさせてくれる、とびっきりの歌詞です。

LAZY LOU's BOOGIEの活動期間はわずか2年。正直に言うと、時代に名を残したとは言いがたいバンドです。もっとシーンに影響を与えたバンドは他にいくらでもある。

だけど、これだけ今も心に残る曲をつくってくれたこのバンドのことを、僕は一生忘れることはないでしょう。

人生のページをめくったとき、いつもそこにあったのは、間違いなくこの『いつもそこに君がいた』でした。

  

『いつもそこに君がいた』

作詞:LOU  作曲:LOU

 

 

すべての名曲と、素晴らしいアニメの数々に感謝しながら、50歳になっても、90歳になっても、この曲たちと共に自分の人生を自分の足で歩き続けたいと思います。